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Linguistic assistance beyond borders

話す機械

2020年8月25日

様々な国籍の社員が出社しており、母国語も文化もバラバラなフランシールでは、異文化交流することが日常の風景です。そして日本人にとっては当たり前でも、日本在住の外国人にとっては不思議だと思える事がたくさんあります。今回の記事は、その一つの不思議な事から始まった会話を紹介します。以前の「オーライと往来」の記事にて、トラックがバックする時に誘導するための言葉の話が紹介されましたが、今回の話はその日の会話の続きになります。
毎日、新型コロナウイルスの情報が取り上げられるこのコロナ渦の中、コロナの関係ない記事を投稿し、少しでも気分転換になれば幸いです。

「そういえば、車の『バックします、バックします』と言ってくれる機能は、みんなの国にはある?」
と尋ねるナベタさん。
「ないね・・・!」と外国人の皆さんが答える。
「そうなんだ!」とびっくりするナベタさん。
そして、カナダ人である私が答えました。
「そうそう、カナダの車はそういう機能がある車は声より、「ピーピーピー」という音がしますよ。」

そこから私が頭に浮かべたのは、約10年前留学生として初めて来日した私でした。
日本は、私が生まれ育ったカナダのモントリオール市とあまりに離れているので、文化や習慣、気候、食文化、言葉、ほとんど全部が違っていて、全部が新鮮でした。
文化の違いは想像していましたが、当時、一番印象的だったのは、とても単純なことでした。
それは、日本では、「話す」機械が多いことです。
電車ももちろん、そして券売機、信号、ATM、エスカレーター、救急車と消防車、お風呂の給湯器も…。
逆に、「話さない」機械が珍しいくらい、機械がよく話しています。
それは、なぜでしょうか?
日本人の友達や同僚に聞いてみても、わかりません。

日本は、上下関係文化が独特で、社会の色々な場面で、相手やものに対して尊敬を表す言語や作法がたくさんあります。そして、細かいことでも気を配り、丁寧に行動します。
機械が作れるようになった時は、既存の尊敬文化を機械でも参加できるように、話す機能を統合したのでしょうか。機械が話せることによって、使用者に対して指示を丁寧に説明するために人間の声に決めたかもしれません。
「話す機械」の特徴は、そちらから来たのかなと、私は思っています。
あくまで私の仮設ですが。
皆様はどう思いますか。

現在に至って、社会人として日本に在住している今の私が、逆にカナダに帰国するときは、機械が静かで、毎回びっくりしているんです。
上記のようにの「日常の風景」はやはり、この世の中に数えきれないほどあるからこそ、異文化交流が興味深いですね。 (マドレーヌ)

翻訳メモリとフランシール

2020年8月21日

先日の定例会でMemoQの方に講義してもらいましたが、今回はその翻訳メモリ(または翻訳支援ツール、CAT)について。翻訳メモリは以前はTRADOSが主流でしたが、最近ではMemsourceやMemoQなど新しいソフトも出てきています。翻訳メモリと機械翻訳は良く混同されますが、実は違うもので、翻訳メモリは自動的に訳してくれるわけではなく、まずは類似の対訳データをインプットする必要があります。

例えば
■私はりんごは好きだけど、オレンジは嫌いです。
(I like apples but I don’t like oranges.)
という対訳データがあります。
次に、
■私はりんごは好きだけど、なしは嫌いです。
という文章が出てきた場合、違うところは「オレンジ」と「なし」だけ。
翻訳メモリは「メモリにある文章と90%同じです」と教えてくれる、そんな感じが翻訳メモリです。
「I like apples but I don’t like (X) oranges.(90%)のように
違うところにマークがでてきて、「ここだけ変えたらその翻訳ができるますよ。」と教えてくれます。

そして、I like apples but I don’t like pears. とインプットしておけば、これがまた対訳メモリとしてデータ化され、次に「私はりんごは好きだけど、なしは嫌いです。」という文章がえてきたら「100%一致しています。翻訳する必要ありません。」と教えてくれるのです。

「あれ、似たような文章、さっきなかったっけー?」という記憶力が少ない人はこの機能がないと「I like apples, but I dislike pears.」など、意味的にはあってるけれど、違う文章を作ってしまうかもしれない、それを避けるためのソフトです。特にマニュアルなどで「右ボタンを押す」と書いたのに次のページでは「右ボタンを押してください。」と書いたりすると全体の統一感がとれないので大変重宝します。

これに対して、機械翻訳は予め決まった対訳データがあるわけではなく、
「私は」「I」
「りんごが好きです。」「like apples」
と置き換えていくものです。間違えませんが、出来上がった翻訳もどこか不自然でした。

しかし2016年、それまで機械翻訳らしく、不自然な翻訳をしていたGOOGLEがニューラル翻訳を開始しました。世界中の対訳集をかき集めて、AIに読み込ませ、文章を前からだけでなく、後ろからも分析して類似のコーパスを見つけてくる翻訳方法に代わりました(そうやってぐねぐね分析して翻訳するのでニューラル(神経)翻訳と呼ばれています)。出来上がる文章もかなり自然になりました。社内のアメリカ人コーディネータが「うわ!全然違う!」とびっくりしていたのを覚えています。(我々の仕事は終わったのか、とみんな青くもなりました。)

その後上記の翻訳メモリにもそういったAI翻訳機能を搭載することが可能になりました。つまり、対訳コーパスが用意されていなかったら翻訳できなかった翻訳メモリも、今ではゼロからの翻訳でもAI(機械)翻訳が訳文を提案をしてくれる、ということです。

私が学生のころは翻訳家といえば着物で机に向かって万年筆をもって苦悩する、文学者風情のイメージがありました。しかしその後翻訳会社に入り、商業翻訳が「1文字10円」などの内職のような仕事であることに驚き、その厳しさを痛感しました。
そして今、AI翻訳や様々なソフト連携の説明書からみる翻訳フローは、工学部のテキストのようです。商業翻訳はとうとう翻訳工学になりつつあります。

ただ、フランシールが取り扱う翻訳は、翻訳メモリの機能も単語レベルでしか使えない(調査報告書など案件特有の)翻訳や役所から発出される紙ベースの翻訳などのオートクチュール的なものがまだまだ多く、会社もいまだ翻訳工房的な雰囲気です。でも周囲を見渡すと翻訳は翻訳工場で大量生産されつつあり、今日の翻訳はまるでファストファッション。今後は圧倒されないよう奮闘しつつ、いかにAIと協働していくか考える必要があるのかなと思っています。

個人的には早くドラえもんのような優しいAIロボットが現れて、「ねえこの汚いスキャンデータをきれいなワードに訳して」とか「お客の書いてる日本語の意味がわからないから聞いてきて」とか「この名前、なんて読むのか確認お願い!」など、あらゆる要望に応対してくれないかなと思っています。・・・いや、待てよ。よく考えたらその逆で、私たちがAIにそれらの細かい仕事を頼まれる可能性のほうが高いかもしれません。将来私たちはロボットにお茶出しとかしているかもしれませんね!(鍋)

今日のワード
■翻訳支援ツール
英語: computer-assisted translation (CAT) tools
フランス語 : outil d’aide à la traduction
スペイン語 : herramientas de TAC
ロシア語 :Средства автоматизированного перевода
中国語:计算机辅助翻译 または 电脑辅助翻译

■翻訳メモリ(TM)
英語:translation memory (TM)
フランス語 : mémoire de traduction
スペイン語 : memoria de traducción (MT)
ロシア語 :Память переводов
中国語:翻译记忆(库)

■ニューラル機械翻訳
英語: neural machine translation
フランス語 : traduction automatique neuronale
スペイン語 : traducción automática neuronal (NMT)
ロシア語 :Нейронный машинный перевод
中国語:神经机器翻译

■翻訳API(Application Programming Interface)
(最近増えてきた、WEBサイトやアプリを丸ごと翻訳してくれるサービス。
対訳データを預け、AI翻訳を自分好みに大量に作ってくれるサービスです。月額いくら、といった形で契約すると決まったワード数まで翻訳してくれるものが多いようです。)
英語:
translation API (application programming interface)
フランス語 :
API (interface de programmation d’application, 又は interface de programmation applicative)
スペイン語 :
API (Interfaz de Programación de Aplicaciones) de traducción
ロシア語 :
API (программный интерфейс) для машинного перевода
中国語:翻译应用程序接口

(旅ブログ)ドイツ提携先翻訳会社の社長さんより

2020年8月18日

本日はドイツの提携先翻訳会社の社長さん(Aさん)より現地の素敵(不思議?)な写真と様子が届きました。これがドイツ?北海のイメージががらりと変わります  。ひとときのバカンスの雰囲気を是非お愉しみください。(鍋)


毎年、夏には日本に一時帰国して、ときどきフランールさんにもご挨拶に押しかけたりしていました。しかし、今年はコロナ騒ぎで、久しぶりに夏休みを国内(ドイツ)で過ごしました。残暑お見舞いをかねて、レポートします。

北海に浮かぶボルクム島に家族で旅行しました。東フリースラント諸島最大の島ですが、丸一日あれば自転車で島を一周できます。


ボルクム島のメインビーチ

ドイツの海辺に並ぶのはビーチパラソルならぬシュトラントコルプ(直訳するとビーチバスケット)。カゴにすっぽり包まれるようにして座り、強い日差しから守られながら海辺でゆっくり過ごすのがドイツ流。カゴは荷物を置いて施錠できるので、マイ「海の家」にもなります。

海水浴もさることながら、個人的に今回の旅行のハイライトだったのは、あざらし。遠浅のときは、砂州の対岸に寝そべるあざらしを双眼鏡で眺めることができます。望遠カメラで撮った画像を以下にお裾分けします。

のんびりとお昼寝している(ように見える)あざらしの姿はいつまで見ても見飽きず、癒やされます。ときどき、思い出したように背伸びしたり、ハイハイしながら海に飛び込んだりする姿が、また愛らしい。

海があって、お日様が照っていて、仲間に囲まれて・・、なんて平和な世界なのだろう。私たちがコロナ騒ぎであたふたしている間も、彼らはずっとこうやって悠然と寝そべってきたに違いない。人間の悩みなんてちっぽけに思えてきます。

休暇に入ってすぐの時期であったためか、島は予想していたほど混み合っていませんでした。しかし、国内で休暇を過ごそうというのはドイツ全体の流れで、南ドイツを中心とする国内の行楽地はどこも混雑しているそうです。

観光客が押しかけたアルプスの街々は大喜びと思いきや、7月下旬には住民の反対デモまで起きています。あまりの渋滞、騒音、ポイ捨てのゴミに辟易してのことだとか。確かに、バイエルン地方の湖畔でビールを飲み捨てて帰るような心なき観光客は、今までは少なかったように思います。いつもならスペインのマヨルカ島あたりでパーティーに興じていた輩たちが国内に流れたからではないでしょうか。

州によっては新学期を迎えた今(ドイツでは州によって夏休み期間が異なります)、休暇先での感染による第二波の到来に戦々恐々としています。私の住む州でも学校の再開から一週間足らずで感染者が出て、早くも閉鎖を迫られる学校も出ています。

コロナとの闘いにはまだまだ終わりが見えません。しかし、煮詰まったときは、あの島に今も流れている「あざらし時間」のことを思い出そう ―― そう思って仕事場にはあざらしの卓上カレンダーを置いています。

テレワーク中の会議②

2020年8月17日

8月13日、フランシールの月例会です。再び数名で近くの明日館へ向かうと、会議室には大きなモニターが置かれていました。前回の会議の帰りに「大きなモニターが欲しい」と事務所に伝えて帰ったせいでしょうか、まさに希望するサイズの機材が持ち込まれていました。(レンタル料3000円)

今回は後半に翻訳メモリソフト、MEMOQの三浦さんがクラウド版ソフトについてオンラインで講義してくださることになっていました。以前の小さいモニターでは、みんながモニターの前に集まることになりまさに「密」状態になるため、各自がPCを持ち込んでの会議をすることとしていました。でも、大きなモニターがあればもう十分です。

そうなると、もう小さいPCはいらないのですが、開きたい人は明日館の机からでも参加してもいいことにしました。

ZOOMに参加者が次々集まってきて、さあ会議、と思ったら「キーン!」とハレーション。今度は同じ部屋にあるPC同士が反応してしまったようです。「マイクオフにして!」と再び騒然。そしてオフにしたあとも通信が止まる事態に。どうやら明日館のフリーWIFIにみんなで接続してしまったせいで通信が弱くなってしまったようです。前回はモバイルWIFIを持ち込んでいましたがフリーWIFIで足りたので、今回は持ち込まなかったら、この状態に。PCの数を考えていませんでした。毎回いろいろ思い知らされます。

(*会議通訳などの派遣時には機材屋さんに機材とエンジニア派遣を依頼するのでこういったハプニングは起こりません。あくまで自社内でコストをかけずにオンライン会議を行うための試行です。)(鍋)

 

大きいモニターで快適なオンライン講義。

司会者の顔もみんなにばっちり。

オンライン会議をしよう!0814

今年5月の緊急事態宣言時にわかりやすいZOOMオンライン会議の仕方をまとめました。

これからやろうかな、という方のお役にたてると幸いです。

フランスの今年の言葉”CONFINEMENT”について

2020年8月14日

今年はフランスやイタリアをはじめ、コロナ禍で外出禁止令が施行された欧州諸国で1957年にノーベル文学賞を受賞したフランス人小説家アルベール・カミュの代表作「ペスト」に対する関心が高まりました。1947年に出版されたこの物語りの舞台は1940年のフランス領アルジェリアのオランという、黒死病に襲われ封鎖された港町です。そういった過酷な状況における人間が経験する不安や恐怖は、新型コロナウイルスによって日常生活の激変に見舞われる現在の人たちの心にも響くところがあったんでしょう。

さて、本題に入りましょう。フランスに毎年「言葉祭り」が開催され、その時に「今年の言葉」が選ばれます。2020年度の「今年の言葉」は、もちろん、「confinement 」です。元々は「閉じ込め」や「隔離」の意味で囚人の状態を表すためによく使われていた単語で、現代は特に原子力事故や化学災害の際の対応措置を指します。ただし、不思議なことに、「ペスト」には、「confinement」や動詞「confiner」は一切出てきません。その代わりに見受けるのは「quarantaine」という言葉です。数字の「40」をフランス語で「quarante」と言うため、フランス語学習者にとっては少し馴染みのある単語かもしれません。「検疫」の意味の「quarantaine」は中世イタリアからきて、当時は感染症が流行している船舶の乗員は40日間上陸できずに船内での待機を余儀なくされていたことが語源になります。病気によって検疫期間が変わるものの、単語は17世紀から変わっていません。

最後に、この度のコロナ禍では14日間の隔離が必要とされていることから、「quarantaine」に倣って「quatorzaine」という単語も使用されるようになっています。感染症関連の文脈で「14日間の検疫」という意味になります。(ノブル)

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