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Linguistic assistance beyond borders

SDGsについて考える 「目標10 人や国の不平等をなくそう」

2020年10月21日

■日本語:人や国の不平等をなくそう(◎は国連の公用語である6言語)
◎英語:Reduced inequalities
◎フランス語:Inégalités réduites
◎スペイン語:Reducción de las desigualdades
◎ロシア語:Уменьшение неравенства
◎中国語:减少不平等
◎アラビア語:الحد من أوجه عدم المساواة
スウェーデン語:Minskad ojämlikhet

あらゆる事象を「言語」の観点からみてしまう習性が抜けない。今回の目標も、どうしても、「言語の不平等」という切り口で考えてみたくなる。一面的で偏った見方に陥る可能性もあるのだが、しばしおつきあい願えればありがたい。
国連によると、目標10では、「所得の不平等」と同時に「性、年齢、障害、人種、階級、民族、宗教、機会にもとづく不平等や各国内及び国家間の不平等の撤廃」を求めているそうだ。う~ん、「言語の不平等」なんてどうでもいいのかな。事実、世界中でA語を使えば壁もなくなって平等になるのに、などという能天気なことを平気で言う人も少なくない。

「言語の不平等」と言われてもピンと来ない人の方が多いかもしれない。現在世界では、控えめな見積りでも3,000ほどの言語が使われている。仮に国連加盟国数の193で割ると一国当たり平均15以上の言語が存在することになる。この一国内に存在する複数の言語間の地位が平等でないところにまず最初の問題がある。多くの国で公用語が制定されており、そうでない場合でも、我が国を含め、一つか少数の言語が実質的な公用語として機能している。そうすると、そこからもれる言語がいくつも存在することになる。例を挙げると、植民地支配からの脱却後、国内に母語としている人がほとんどいないにもかかわらず、旧宗主国の言語を公用語として採用している国が数多くある。このような国では、公用語を使えるようになるには、「お金」をかけて長い「時間」学校に通う必要があるのだが、それができるのは、長時間水汲み労働等をしなくても、我々が想像する普通の生活ができる階層だけだ。上の「世界中でA語を使えば~」説に従えば、表面に表れない公用語以外の言語(ともちろんそれを使う名もなき人々)は積極的に忘れ去るのが進歩で正義ということになる。でも国連が救済しようとしている貧困層とこれらの忘れ去られてしまいそうな言語を使う人々は多分に重なるのだ。「就学率の向上を!」とか「識字率のアップを!」というかけ声もこのような背景を頭に入れておかないと、空言に終わってしまうのではないか。

続いて「各国家間の不平等」だが、各国の公用語間にも序列があるのは誰の目にも明らかであろう。国連でも6言語のみが公用語とされ、その中でも2言語が作業語とされ、さらにまたその中でも、、、という状況だ。我が国出身の国連職員が増えないのは、この状況と密接に関連している。これが「不平等」かどうかはさておき、だからA語を公用語にしないとダメだ式の言説は、国際間の(言語の)「不平等」固定化に加担する明らかに倒錯した思考法だろう。
生来悲観主義者なので、そもそも「不平等」なんて、永遠にとは言わないまでも、近い将来根絶することは不可能ではないかと、問題の大きさを前に暗澹たる気持ちにもなるが、弱き者の視点で物事を見るのは無駄ではなさそうだ。     (一老いぼれ職員)
(小文の見解は筆者個人のものであり、必ずしも㈱フランシールの公式見解ではありません。)

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