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Linguistic assistance beyond borders

A.I とI.A

2020年8月31日

「FRANCE JAPON ECO」という雑誌があり、フランス商工会議所のメンバーにおくられてくる日本語とフランス語の雑誌があります。先日送られてきた表紙を見て、「え!」と二度見してしまいました。「I.A!」。 まさか「A.I.」の誤植??表紙から??

いえいえ、そうではありません。Intelligence artificielle(フランス語), Inteligencia artificial(スペイン語)など、ラテン系の人工知能(AI)はこの略語が正しいようです。確かにラテン語は後ろから形容するから仕方ないのかもしれませんが、どこかで「英語とは違うんだ」という言語の意地を感じます。

もちろんAI自身はそんな言語による違いもすでに把握しています。試しにGOOGLE翻訳で「英語→フランス語」に「AI」と入れてみたらすぐに「IA」を出してくれます。人工知能は私たちが寝てる間も発展し、知らないことなどないのかもしれません。

しかしAIだって最近は人間みたいなミスもおかします。例えば

GOOGLE翻訳で日本語から英語を選び、日本語の欄に「白黒白黒白黒白白白黒」と入れると
「Black and white black and white black and white white white black and white」(!)
と、なぜか最後に白を足してしまいます。ちなみに赤黒赤黒赤黒赤赤赤黒(Red black red black red black red red red black)では問題なく訳されるので、白黒バージョンのほうがよりたくさんの対訳データがあり、そちらでは「Black and white」と対になる確率のほうが高いから上記のような結果が出るのかなと思います。

先日は「当機構」という言葉がある文章を入れてみるとすべて「JQA」となり、「なんの略号だろう?」と思って調べると、ある財団法人の名前でした。多分AIはそこの対訳コーパスをたくさん食べたんだろうと思います。

すごく出来るけど、やってしまうミスがだんだん人間っぽくなってきて、「やっぱり少しお世話してあげないとね。」と、個人的には少し親しみが沸いてしまいます。

ちなみに、2013年にオックスフォード大学の研究者らが発表し、日本の教育現場でも「今の職業は10年後にはなくなっているのでは?」と、話題になる論文(THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?
<雇用の未来:コンピュータに代替される職業は?(仮訳)>:https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf)では、リスト化された702の職業のうち、コンピュータに代替されにくい職業として「翻訳・通訳」は上から265位についています。正直700番台あるいは600番台後半かと思ったら、意外と代替されにくいランクにつけていました。上のようなAI翻訳の残りを整理する仕事や、AIに食べさせる対訳コーパス作りといった地味な仕事がAIのためにもあるからかもしれません・・。(鍋)

今日の用語(せっかくなのでAIにちなんで)

■人工知能(AI)
英語: Artificial Intelligence
フランス語 : Intelligence artificielle
スペイン語 : Inteligencia artificial (IA)
スェーデン語: Artificiell Intelligens
ロシア語 : Искусственный интеллект
中国語: 人工智能

■機械学習
英語: Machine Learning
フランス語 : Apprentissage automatique
スペイン語 : Aprendizaje automático
スェーデン語: Maskininlärning
ロシア語 : Машинное обучение
中国語: 机器学习

■深層学習(ディープラーニング)
英語: Deep Learning
フランス語 : Apprentissage profond
スペイン語 : Aprendizaje profundo
スェーデン語: Djupinlärning
ロシア語 : Глубокое обучение
中国語: 深度学习

■強化学習
英語: Reinforcement Learning
フランス語 : Apprentissage par renforcement
スペイン語 : Aprendizaje por refuerzo
スェーデン語: Förstärkningsinlärning
ロシア語 : Обучение с подкреплением
中国語: 强化学习

■深層強化学習
英語: Deep Reinforcement Learning
フランス語 : Apprentissage profond par renforcement
スペイン語 : Aprendizaje por refuerzo profundo
スェーデン語: Djup förstärkningsinlärning
ロシア語 : Глубокое обучение с подкреплением
中国語: 深度强化学习

■技術的特異点(シンギュラリティ)
英語: Technological Singularity
フランス語 : Singularité technologique
スペイン語 : Singularidad tecnológica
スェーデン語: Teknologisk singularitet
ロシア語 : Технологическая сингулярность
中国語: 技术奇(异)点

フランスでの新しいジェンダー表現「・・teur.rice」とは?

2020年8月26日

Écriture inclusive (性中立的言語・ジェンダーインクルーシブな書き方)

2020年6月のフランスの市町村議会選挙では、緑の党のグレゴリー・ドーセット氏が
18年間リヨン市長を務めていた社会党のジェラール・コロンを破ってリヨン市長に当選しました。

驚くことに、彼が最初にとった政策は、リヨン市でécriture inclusive (性中立的言語・ジェンダーインクルーシブな書き方)を定めることでした。革新派から、フランス語標準語における性別に関して、女性形より男性形の方がその地位を確立してしまっているとの批判の声が上がっていたためです。

フランス語では、男性名詞および女性名詞という文法的な概念がありますが、大多数の役割や職業を指す場合の名詞は男性名詞です。その役割や職業に女性が含まれていても複数になると男性形になり、結果、男性しかいないという印象を助長してしまいがちです。これを回避するため、スペルの変更が求められてきました。

しかし、男女平等に貢献する政策だと見られる一方で、厳しい立場を示す専門家もいます。フランスの国立学術団体アカデミー・フランセーズは「この書き方は危険だ」と述べています。反対派は「単語のスペル変更だけでなく、文字の後ろにドット(.)を追加することは、障がい者や外国人にとってただでさえ難しいフランス語をさらに読みにくくする」といっています。

例えば、この新しい書き方では「inspecteur」(検査官)という単語は男性、女性が混じる複数になると、「inspecteur.rice.s」となりますが、文章の終わりのピリオド(.)と、その特殊な字体のドット(.)との区別が分かりにくくなる心配があります。

それでもドーセット氏は、「écriture inclusive (性中立的言語・ジェンダーインクルーシブな書き方) の重要性を強く信じている」と発言しています。

個人的には、ドットを入れる書き方をやめた方がいいと思います。
フランス語を勉強したい人の数が減少すると、フランスという国の魅力も失われ、間接的に経済まで影響が及ぶとも考えられます。
例えば、Les coordinateurs.rices de Franchirではなくて、Les coordinatrices et les coordinateurs de Franchirと現した方が良いと思います。ドットを使わず女性を強調する書き方が既にあります。(ダミアン)

(旅ブログ)フランスのミヨー大橋

2020年8月25日

先日もブログを寄せてくれたフランス語通訳の橋爪さんより、以前行かれたフランス南部にあるミヨー橋について寄稿いただきました。


2005年に退職した兄と一緒に南仏を旅しました。
その時に建設されたばかりのミヨー大橋を車で渡りました。
世界一高い橋として有名です。
建設されたのは2004年12月で、僕らが訪ねたのは2005年9月でした。

あんまり素晴らしい橋なので、車のスピードを緩め、
一時停車でもしようと思った途端、後ろから憲兵隊の車が来て「ここは一時停車禁止」との命令。やむなくのろのろ橋を渡りました。

一時停止をして眺めの良い風景を写真にでも収めようとする観光客は、大勢いて、それを見るとすぐに憲兵隊が飛んできます。
やむなく停車不可能ということになり、観光客もしぶしぶ下界の方へ向かって車を走らせます。

大きなループを描きながら下界へ降りてみると、土産物センターがありました。橋下からの長めです。
地面から主塔までの高さは342mあります。地面から橋の道路までの高さは270m(最高部で)。

せっかく来たので、兄と記念撮影。

土産物センターで絵葉書を買いました。
というのも自分で撮る写真では、大橋の全体が撮れません。
特別な高地へ行かないと撮れないので、そこは絵葉書で代用することにします。

「Designer: FOSTER and PARTNERS
Photo : C.E.V.M・Daniel JAMME・Millau ©」

芸術的なセンスと工学的な緻密さが一体融合した見事な大橋です。
南仏へ行ったら是非一度訪ねてみてください。
橋爪 雅彦

話す機械

2020年8月25日

様々な国籍の社員が出社しており、母国語も文化もバラバラなフランシールでは、異文化交流することが日常の風景です。そして日本人にとっては当たり前でも、日本在住の外国人にとっては不思議だと思える事がたくさんあります。今回の記事は、その一つの不思議な事から始まった会話を紹介します。以前の「オーライと往来」の記事にて、トラックがバックする時に誘導するための言葉の話が紹介されましたが、今回の話はその日の会話の続きになります。
毎日、新型コロナウイルスの情報が取り上げられるこのコロナ渦の中、コロナの関係ない記事を投稿し、少しでも気分転換になれば幸いです。

「そういえば、車の『バックします、バックします』と言ってくれる機能は、みんなの国にはある?」
と尋ねるナベタさん。
「ないね・・・!」と外国人の皆さんが答える。
「そうなんだ!」とびっくりするナベタさん。
そして、カナダ人である私が答えました。
「そうそう、カナダの車はそういう機能がある車は声より、「ピーピーピー」という音がしますよ。」

そこから私が頭に浮かべたのは、約10年前留学生として初めて来日した私でした。
日本は、私が生まれ育ったカナダのモントリオール市とあまりに離れているので、文化や習慣、気候、食文化、言葉、ほとんど全部が違っていて、全部が新鮮でした。
文化の違いは想像していましたが、当時、一番印象的だったのは、とても単純なことでした。
それは、日本では、「話す」機械が多いことです。
電車ももちろん、そして券売機、信号、ATM、エスカレーター、救急車と消防車、お風呂の給湯器も…。
逆に、「話さない」機械が珍しいくらい、機械がよく話しています。
それは、なぜでしょうか?
日本人の友達や同僚に聞いてみても、わかりません。

日本は、上下関係文化が独特で、社会の色々な場面で、相手やものに対して尊敬を表す言語や作法がたくさんあります。そして、細かいことでも気を配り、丁寧に行動します。
機械が作れるようになった時は、既存の尊敬文化を機械でも参加できるように、話す機能を統合したのでしょうか。機械が話せることによって、使用者に対して指示を丁寧に説明するために人間の声に決めたかもしれません。
「話す機械」の特徴は、そちらから来たのかなと、私は思っています。
あくまで私の仮設ですが。
皆様はどう思いますか。

現在に至って、社会人として日本に在住している今の私が、逆にカナダに帰国するときは、機械が静かで、毎回びっくりしているんです。
上記のようにの「日常の風景」はやはり、この世の中に数えきれないほどあるからこそ、異文化交流が興味深いですね。 (マドレーヌ)

翻訳メモリとフランシール

2020年8月21日

先日の定例会でMemoQの方に講義してもらいましたが、今回はその翻訳メモリ(または翻訳支援ツール、CAT)について。翻訳メモリは以前はTRADOSが主流でしたが、最近ではMemsourceやMemoQなど新しいソフトも出てきています。翻訳メモリと機械翻訳は良く混同されますが、実は違うもので、翻訳メモリは自動的に訳してくれるわけではなく、まずは類似の対訳データをインプットする必要があります。

例えば
■私はりんごは好きだけど、オレンジは嫌いです。
(I like apples but I don’t like oranges.)
という対訳データがあります。
次に、
■私はりんごは好きだけど、なしは嫌いです。
という文章が出てきた場合、違うところは「オレンジ」と「なし」だけ。
翻訳メモリは「メモリにある文章と90%同じです」と教えてくれる、そんな感じが翻訳メモリです。
「I like apples but I don’t like (X) oranges.(90%)のように
違うところにマークがでてきて、「ここだけ変えたらその翻訳ができるますよ。」と教えてくれます。

そして、I like apples but I don’t like pears. とインプットしておけば、これがまた対訳メモリとしてデータ化され、次に「私はりんごは好きだけど、なしは嫌いです。」という文章がえてきたら「100%一致しています。翻訳する必要ありません。」と教えてくれるのです。

「あれ、似たような文章、さっきなかったっけー?」という記憶力が少ない人はこの機能がないと「I like apples, but I dislike pears.」など、意味的にはあってるけれど、違う文章を作ってしまうかもしれない、それを避けるためのソフトです。特にマニュアルなどで「右ボタンを押す」と書いたのに次のページでは「右ボタンを押してください。」と書いたりすると全体の統一感がとれないので大変重宝します。

これに対して、機械翻訳は予め決まった対訳データがあるわけではなく、
「私は」「I」
「りんごが好きです。」「like apples」
と置き換えていくものです。間違えませんが、出来上がった翻訳もどこか不自然でした。

しかし2016年、それまで機械翻訳らしく、不自然な翻訳をしていたGOOGLEがニューラル翻訳を開始しました。世界中の対訳集をかき集めて、AIに読み込ませ、文章を前からだけでなく、後ろからも分析して類似のコーパスを見つけてくる翻訳方法に代わりました(そうやってぐねぐね分析して翻訳するのでニューラル(神経)翻訳と呼ばれています)。出来上がる文章もかなり自然になりました。社内のアメリカ人コーディネータが「うわ!全然違う!」とびっくりしていたのを覚えています。(我々の仕事は終わったのか、とみんな青くもなりました。)

その後上記の翻訳メモリにもそういったAI翻訳機能を搭載することが可能になりました。つまり、対訳コーパスが用意されていなかったら翻訳できなかった翻訳メモリも、今ではゼロからの翻訳でもAI(機械)翻訳が訳文を提案をしてくれる、ということです。

私が学生のころは翻訳家といえば着物で机に向かって万年筆をもって苦悩する、文学者風情のイメージがありました。しかしその後翻訳会社に入り、商業翻訳が「1文字10円」などの内職のような仕事であることに驚き、その厳しさを痛感しました。
そして今、AI翻訳や様々なソフト連携の説明書からみる翻訳フローは、工学部のテキストのようです。商業翻訳はとうとう翻訳工学になりつつあります。

ただ、フランシールが取り扱う翻訳は、翻訳メモリの機能も単語レベルでしか使えない(調査報告書など案件特有の)翻訳や役所から発出される紙ベースの翻訳などのオートクチュール的なものがまだまだ多く、会社もいまだ翻訳工房的な雰囲気です。でも周囲を見渡すと翻訳は翻訳工場で大量生産されつつあり、今日の翻訳はまるでファストファッション。今後は圧倒されないよう奮闘しつつ、いかにAIと協働していくか考える必要があるのかなと思っています。

個人的には早くドラえもんのような優しいAIロボットが現れて、「ねえこの汚いスキャンデータをきれいなワードに訳して」とか「お客の書いてる日本語の意味がわからないから聞いてきて」とか「この名前、なんて読むのか確認お願い!」など、あらゆる要望に応対してくれないかなと思っています。・・・いや、待てよ。よく考えたらその逆で、私たちがAIにそれらの細かい仕事を頼まれる可能性のほうが高いかもしれません。将来私たちはロボットにお茶出しとかしているかもしれませんね!(鍋)

今日のワード
■翻訳支援ツール
英語: computer-assisted translation (CAT) tools
フランス語 : outil d’aide à la traduction
スペイン語 : herramientas de TAC
ロシア語 :Средства автоматизированного перевода
中国語:计算机辅助翻译 または 电脑辅助翻译

■翻訳メモリ(TM)
英語:translation memory (TM)
フランス語 : mémoire de traduction
スペイン語 : memoria de traducción (MT)
ロシア語 :Память переводов
中国語:翻译记忆(库)

■ニューラル機械翻訳
英語: neural machine translation
フランス語 : traduction automatique neuronale
スペイン語 : traducción automática neuronal (NMT)
ロシア語 :Нейронный машинный перевод
中国語:神经机器翻译

■翻訳API(Application Programming Interface)
(最近増えてきた、WEBサイトやアプリを丸ごと翻訳してくれるサービス。
対訳データを預け、AI翻訳を自分好みに大量に作ってくれるサービスです。月額いくら、といった形で契約すると決まったワード数まで翻訳してくれるものが多いようです。)
英語:
translation API (application programming interface)
フランス語 :
API (interface de programmation d’application, 又は interface de programmation applicative)
スペイン語 :
API (Interfaz de Programación de Aplicaciones) de traducción
ロシア語 :
API (программный интерфейс) для машинного перевода
中国語:翻译应用程序接口

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